スタッフブログ-4 「日々農家・秋冬の音」
毎年同じような作業をする中で、同じように出来ないこともあり、あまり変えられないこともあります。晴れた日は作業が出来てたすかりますが、ときには雨もありがたい農家です。
朝晩冷え込みがすすむと、裏の樫の木の実が落ちだします。「ポトッ コトッ」とトラックの屋根や、倒して置いてある金属製のハシゴにあたります。ある朝などは「ポトポト パタパタパタパタ」。砂利道ではなく「どんぐり道」になります。坂道に落ちた「どんぐり」は踏んでも潰れないので「ズルッ」となり危険です。横向きにそろそろ降ります。
クリスマス時期に使う枝物の出荷作業が始まります。明日の朝は霜が降るかもしれないという時は、まだ畑に残っているピーマンやシシトウの小さなものまで全て収穫し、これで大丈夫とホッとします。
落ち葉も道端にかさなりだし「ザク ギャシャ」と小刻みにまんべんなく踏み歩きたくなります。日中でもとけない日陰の霜柱を「ザクザク」。長靴の大きな足跡がつき、蹴散らかされて倒れた霜柱の長さに驚きます。
年末恒例のお餅つき。いつもは餅つき機で「ウォーン ウォーン」と二升分ずつつきますが、去年は初めて蒸籠2つ分は杵と臼で、「ポッタン ベッタン」と曖昧な力加減でついていました。初心者たちは「ペッタン ペッタン」とはいきません。
大晦日、除夜の鐘を突かせてくれるお寺から「ゴーン ゴーン」と聴こえはじめます。馬頭観音なので白い馬も祀られていて、三重の塔もあります。百観音なのでここをお参りすると、四国や秩父の札所巡りをした御利益があるそうです。
年が明け、三ヶ日の朝食は大根と八つ頭と小松菜のシンプルなお雑煮です。3日目の朝などは、前日に用意を忘れてしまった小松菜を前の畑にとりにいきます。土はガッツリ固まり踏んでも落とし穴のようにはなりません。寒さにあたり徐々に糖分を蓄えた小松菜は、日中は復活しますが、朝は霜げているように見えます。「バリ ザッ」葉からパラパラと薄氷が落ちます。また去年と同じことをしているなぁーと呆れながら「コツコツ パタパタ ズルッ」と硬い長靴でそろそろと歩きます。
お雛様用の花桃の出荷準備に入ります。朝方冷え込んだ日などは、切り出して束ね水桶につけておいた枝を引き抜くと「ガリガリ パリパリ」。結晶が見事な模様になった氷が砕け落ちます。紐も凍りつきほどけません。
また、季節の作業が始まります。
伊東久江(1985F科卒)