D科1971年卒の中村保弘さんドイツの iF デザイン賞金賞と、レッドドットデザイン賞を受賞


写真はCROSSA(クロッサチェア)

1960~1970年代、大学進学率が高い東京でも60~70%だった時代、筆者も含め工芸高校を卒業して日立や東芝、日産自動車など大手製造業に就職することは少なくありませんでした。中村さんは当時の本田技研に就職。インダストリアルデザイナー(近年ではプロダクトデザイナー)としてのキャリアをスタートさせました。ホンダでは主にバイク部門のデザインを手掛けていたとのこと。筆者とはテニス部の先輩、後輩の間柄、そして同じくインダストリアルデザインを業とし話が通じやすい関係です。しかし在学中の部活はさぼり気味だったとのことですが、卒業後はマメにテニス部OB飲み会に出席という陽気な後輩です。


テニスOB会( 左端が中村さん)

さて、バイクのデザインに飽きたらしくホンダを退職、広告プロダクションのインダストリアルデザイン部門を経て、1993年に独立、バウデザイン設立。トヨタ自動車、富士重工、ニコン、TOTOなど様々な企業とのデザイン実績から2003年より代表取締役に就任、現在も活躍中です。そこで今回デザインしたオフィスチェア(CROSSAイトーキ)が世界的に権威あるドイツのiFデザイン賞 金賞(注1)とレッドドットデザイン賞(注2)を受賞。CROSSA は折り畳めて自立するアームチェアで屋外でも使える全天候型、スリムで軽やかなデザインが特徴で中村さんの自宅ではエキストラのダイニングチェアとして使っているとのこと。
製造業中心からIT技術の革新による情報・サービス業へ産業の軸足が移る中、働き方も大きく変化している現在、皆さん自身の進路と将来のキャリア形成を考えるとき中村氏のようなキャリア形成の実例は在校生、若い同窓生の参考になるのではないかと思い寄稿させていただいた次第です。

堀越敏晴・1968年A卒

注1:iF DESIGN AWARD
1953年以来、世界で最も権威のあるデザイン賞の1つ。iFロゴは「優れたデザインの証」として世界で広く認知されています。
注2:reddot design awardは、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する国際的なデザイン賞です。