2025年3月1日、母校卒展に同総会理事会で見学会を実施しました
3月1日(土)・2日(日)・4日(火)の3日間、東京都美術館で開催された「東京都立工芸校等学校卒展2025」の初日に同窓会理事10名が参加し見学会を行いました。
当日、1時に開場するシャッターの前には数十人の行列ができる盛況でした。
見学後には美術館内のカフェーで一時間半にわたる感想戦もあり貴重な時間を過ごしました。
同窓会長・藤岡俊平さんと理事・福田哲夫さんから感想記を寄稿頂きました。
「卒展2025を訪れて—工芸高校の今」
藤岡俊平(2014年M卒/66期)
2025年3月、東京都立工芸高等学校の卒業制作展「卒展2025」を見学した。卒業生として訪れた本展示では、後輩たちの努力の結晶とも言える作品が並び、懐かしさとともに、工芸の技術がさらに発展していることを実感した。
工芸高校は、工作精度よりも美術作品的な要素が強く、先生方は生徒たちの作りたいものを尊重しているように感じる。一方、生徒の個性は感じるが、科の個性は一見分かりづらくなってきているように感じた。
展示全体の雰囲気としては、各作品が個性を存分に発揮しながらも、一貫したテーマや表現の工夫が感じられるものだった。生徒たちが自由な発想を大切にしながらも、それぞれの技術やアイデアを最大限に活かしていることが伝わってきた。また、展示の構成や作品の見せ方にもこだわりが感じられ、鑑賞者が自然と作品に引き込まれるような工夫がされていた。
全体を通して、後輩たちの創造力と技術の向上を目の当たりにし、工芸の分野が進化し続けていることを強く感じた。私自身も卒業生として誇らしく思うと同時に、今後も彼らの活躍に注目していきたいと感じた。
「五科の均質化を感じた」
福田哲夫(1967年D卒/16期)
工芸祭と卒展会場には拙息二名がお世話になったご縁もあり三十年ほど足を運んでいる。そして毎年の展示物には、応用課題でも美大生に負けない質の高い成果を上げているものが多く、工芸生とご指導された先生を頼もしく感じている。ところで、特徴があったはずの五科の教育内容が徐々に均質化しているようにも感じたのは私だけであろうか。
グラフィックアーツ科とデザイン科とのグラフィックデザインのアプローチの違いは何か、イラストレーションや漫画化による類型的処理も気になった。金属加工におけるマシンクラフト科とアートクラフト科とのアプローチの違いは何か、またマシン技術を駆使した精緻さや共同制作による動的エネルギーなどへの期待は半減し花で飾られたクラフト制作となっていた。相対的にデザイン科は特徴も薄まりこれから何処を目指すのか気になる展示でもあった。
インテリア科の展示では工芸祭よりも分かりやすく基礎から応用まで3年間の学びの成果が一目瞭然で嬉しかった。またグラフィックアーツ科の作品にも工芸祭では見られなかった完成度の高いものを感じることができた。
全体を通して「暮らしのデザイン」より「私のアート」が多いのは各科の指導方針か、それとも生徒の自主性からなのだろうか。今日的な言葉の定義はそれぞれだが、半世紀前の時代の産業構造を背景として教育を受けた我が身としては、応用の効く基礎基本の習得が見えず気になる卒業展示でもあった。