連載-5 もっと知りたい都立工芸の歩み
大海原に昇る朝日に希望を込めた創設の高き志を100年伝えるシンボル(校章・校訓)
校章
校章は初代校長の今景彦先生がデザインした。
本校設立のための準備としてアメリカに視察へ。
帰途サンフランシスコから乗船された時のことである。
遥かな水平線上に太陽の昇るさまの雄大さ、壮観さ、燦として太平上に輝く旭光に感動。
外形は外国からの工芸品輸入を防ぎ、逆に海外に輸出できるような、日本の工芸品を育成したいという思いを込めて、盾の形をしている。
そして海から昇る朝日を基調に、工芸の「工」の字と創立年「1907」を組み合わせた。
(昭和15年に紀元2600年記念祝賀があり、西暦「1907」は紀元「2567」に変わった。戦後再び西暦「1907」にもどされた。)
現在も使われている各科カラーに色分けされた七宝を埋め込んだ校章バッジは、各科創立以来変わらぬ姿をとどめている。
校訓
校訓の四徳目「誠実・信愛・元気・規律」は正門の梵鐘に鋳込んであったという。
校歌ではこの順番が「誠実・元気・信愛・規律」に変えられた。
この徳目は一般的な美徳として選ばれたものではなく、まず四徳目の上には、自治=人の強制を待たず自ら身を修むが置かれ、この自治、自修の精神のもとに
誠実=陰日向なくまめに働く
元気=盛んに働く
信愛=親しき友と互いに扶け合いて働く
規律=キチンキチンと働く
とあり、労働を愛する人になってほしいという願いが込められていることがよくわかる。
今校長がアメリカ視察で得たエッセンスの現われがここにもある。
*このコラムは「工芸学校80年史」「都立工芸100年史」から画像と文章を引用し再構成しています。