2024年度工芸祭 訪問レポート

今年度の工芸祭のテーマは「百鬼夜行絵巻」でした。工芸高校では装飾や販売されるグッズなど全て一貫したテーマで統一されるので、瓦屋根の入場門をくぐると校舎の外も中も「物の怪の世界」一色に彩られていました。着物を着た在校生達の姿も一層雰囲気を盛り上げていました。ポスターやパンフレットはもちろん、各科の装飾、射的やガチャなどのアトラクション、全日制演劇部による演劇作品『BAR・妖(バー・あやかし)』の登場人物達までもが妖怪という徹底ぶりです。学園祭といえばお化け屋敷は人気出し物のひとつですが、今年の工芸祭は学校全体が楽しいお化け屋敷のような趣向で繰り広げられました。

各科の教室で展示されている課題作品は例年通りどれも力作。日々、学業と専門技術の研鑽を深め、部活にも励みながら工芸祭という大イベントを成功させる在校生の熱意を感じました。また、生徒達の学校生活を陰で支えるPTAは食事もできる休憩室を担っていますがこちらも活気があり、今年は工芸祭の記念バッヂと同じデザインがプリントされたポケットサンドが販売されていました。

昇降口を入った受付エントランスの側に、同窓会のカウンターが設置され、理事たちが同窓会の活動を紹介をさせていただきました。左から善養寺幸子さん(1984年・A卒)、木村光輝さん(1985年・M卒)、伊東久江さん(1985年・F・I卒)。

この同窓会カウンターの前で1973年にM2卒業生のみなさんが待ち合わせをされていました。今年、古稀を迎えられるみなさんは、担任の藤本信雄先生(前列左から2番目)を囲むクラス会へ向かわれるとのこと。工芸祭の開催日に合わせてクラス会を行うのは昨年に続いてのことだそうですが、久しぶりの再会に肩を寄せ合う姿も見られました。現役のM科が担当した大型オブジェの前で藤岡俊平会長(2014年・M卒、後列左から2番目)と木村光輝副会長(1985年・M卒、後列左)も一緒に記念撮影させていただきました。

昨年、M科13期が工芸祭の日に傘寿を祝うクラス会を行ったというご報告いただきましたが、長い工芸高校の歴史の中で、卒業生たちが工芸祭で再会し、クラス会へ向かうという慣習はこれまでもずっと続いてきたことなのでしょう。
もしも現在の工芸生達が将来古希を祝うクラス会を行うとしたら、なんと2070年代ということになりますが、その頃の工芸祭は一体どのような催しなっているのでしょうか。校舎も新しく変わっているかもしれません。それでもきっと工業、工芸、デザイン分野を目指す若い人たちが学びを発表する年に一度の機会、と工夫を凝らし、ものづくりの楽しさを実感しながら切磋琢磨していることでしょう。
世代を超えた出会いを通して、遙か未来の工芸祭にも思いを馳せた今年の工芸祭訪問となりました。

報告:杉原由美子(1992年・D卒)