連載-13 もっと知りたい都立工芸の歩み「70年大阪万博 修学旅行」
1970年(昭和45)は日本万国博覧(EXPO'70)が開催された年として多くの国民に記憶されている。テーマは「人類の進歩と調和」で3月から半年間、大阪の千里丘陵を会場として開催された。その間訪れた入場者は6421万人で、これは万博史上最高の記録であった。
岡本太郎の「太陽の塔」で有名なテーマ館、世界各地より77ヶ国が参加した各国館、そして企業館はさながら建築展のようだった。人々は、動く歩道とモノレールに乗り、技術革新が宇宙開発から日常生活まで変える未来図に驚愕した。経済大国・日本を象徴する戦後最大のイベントであった。
修学旅行案内 『都立工芸100年の歩み』P132 大林眞理子さん(1971年・D卒)提供
工芸高校の生徒もこの年の修学旅行で万博を見学した。多くの企業館には未来を示すモノとデザインがあふれていた。生徒たちはインダストリアルデザインの最先端にふれることによって大いに刺激を受けた。
全日制の修学旅行は、A・F・Dの3科とM・Pの2科が 、それぞれ関西方面と東北方面の二手に分かれて実施した時期もあったが、その後交通機関のスピードアップに伴い、関西から山陽・四国へと足を伸ばすようになった。しかしその後、観光よりも体験的活動を重視するということで、自然に恵まれた裏磐梯で移動教室が実施された時期もある。
定時制の修学旅行も、関西方面(特に京都・奈良)を中心に実施していたが、徐々に四国・山陽・山陰・九州へと足が伸びた。東北にも転進したが、やはり不便で人気不足であった。
※ このコラムは「工芸学校80年史」「都立工芸100年の歩み」から文章を引用して再構成しています。